【70兆円、銀行に眠る】企業、個人へお金回らず 日銀の大規模緩和1年 熱狂去り問われる真価 
http://www.47news.jp/47topics/e/252198.php
主な経済指標の推移
http://img.47news.jp/47topics/images/omonakeizaisikyo.JPG

日銀の 黒田東彦総裁が大規模な金融緩和策を導入して4日で1年となった。
日銀は世の中に出回るお金を74兆円増やしたが、その大半の70兆円が金融機関に眠ったままで、
企業や個人への貸し出しに回っていない。急速に進んだ円安株高に熱狂した市場は落ち着きを取り戻し、
デフレ脱却に向けて真価が問われる2年目が始まる。
 「日本経済は2%の物価安定目標の実現に向けた道筋を順調にたどっている」。
黒田総裁は就任から1年となる3月20日の講演で力説した。
しかし、黒田総裁の強気な姿勢と裏腹に、大規模な緩和策にはほころびも見え始めている。
 日銀が供給するお金の量を示すマネタリーベースは、昨年3月の134兆円からことし3月に208兆円へ74兆円増えた。
一方、金融機関が日銀に設けている当座預金残高も昨年3月の47兆円からことし3月に117兆円へ70兆円膨らんだ。
 金融機関から企業や個人への貸出残高は8兆円の増加にとどまり、
金融機関が日銀から受け取ったお金は十分に活用されていない。
 なぜ貸し出しは伸びないのか。全国銀行協会の 平野信行会長(三菱東京UFJ銀行頭取)は
「金融機関の利ざやは米国で3%ぐらいだが日本は1%程度」と述べ、
企業の資金需要が少なくリスクに見合った利ざやが取れないのが原因との見方を示した。
 鍵を握るのは輸出と設備投資だ。だが、企業は海外に生産拠点を移し、
海外経済の先行きも不透明さを増しており、製造業は雇用や生産の増加につながる設備投資に慎重な姿勢を崩していない。
 みずほ証券の 上野泰也 チーフマーケットエコノミストは「日銀が期待を持ち上げようと頑張っても、
企業の新陳代謝を活性化するような産業政策がなければ、日本経済の再興は難しい」と話す。
 「非常に効果があり画期的だ」(経団連の 米倉弘昌会長)と
称賛と歓迎が相次いだ日銀の「異次元」の金融緩和策だが、
2年目の黒田総裁率いる日銀が進む道は平たんではない。(続く)


スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 マクロ編
スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 マクロ編