消費税が8%になって、国民は3.5%貧しくなった
http://wpb.shueisha.co.jp/2014/04/07/28752/

消費税率が8%へと引き上げられて、約1週間が経過した。

ガソリンやトイレットペーパーなど、増税前の駆け込み消費が発生した一部の日用品で
売り上げが急落しているとの報道もあるが、これはあくまで一時的なもの。この春闘では
各企業が給与のベースアップを行なうなど、アベノミクス効果で日本の景気は上昇中であり、
まったく財源が足りていない社会保障費を補うには、今回の消費増税はいい時期に行なわれたようにも見える。

だが、まったく逆の見方をするのは、経済アナリストの森永卓郎氏だ。
「アベノミクスで景気回復だとか、今年の春闘では久しぶりに賃金のベースアップが達成されたとか騒いでいますが、
今のタイミングで増税することは自殺行為としか言いようがありません」

どういうことか? 森永氏が続ける。
「ベースアップといっても、トヨタでさえひと月たった2700円のアップです。
全企業を平均すると0.5%程度の賃金上昇にすぎません。
一方、物価は増税分と合わせて約4%も上昇しますから、
実質的には約3.5%も賃金が目減りしたことになるのです。これは戦後最大の所得減少ですよ」

補足説明すると、今回の増税率は3%だが、
消費税は保険や医療、教育など、適用外の分野もある。
その分を差し引くと、概算で約2.5%、物価が上昇することになる。
さらに総務省統計局が発表したデータによると、今年2月の消費者物価指数は昨年の同月と比べて1.5%の上昇だった。

つまり今回、日本の物価は(2.5と1.5を足して)昨年比で約4%上昇した計算になる。
一方、賃金は0.5%しか上がらないのだから、
日本国民は実質的に3.5%貧しくなったともいえる。景気回復を実感できない人が多いのも当然だろう。

(続く)


スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 マクロ編
スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 マクロ編